寺報「月照」第22号

令和2年 元日

月照寺に保管されている宝物
旭日海鶴図(伝 谷文晃)

美しい地球よ永遠に

満天の星が輝く宇宙よ!
母なる太陽を慕いつつ
今日も銀河空間を渡る美しい地球よ!
地球は青い一顆の明珠…
一千、一万、一億、一兆年
無量百千万億阿僧祗劫∞
美しい地球よ永遠に!

「慕古心」について

時を超えて、人を超えて、語り、受け継がれ、伝えられる「真実(本当のこと)」は永遠に輝いて、いつも新しいのです。道元禅師は、現代を生きる私たちに、「真実(本当のこと)」をたくさん教え示してくださっています。そのひとつひとつを学び、実践することを「慕古心」というのです。「慕古心」とは、「永遠の真実」を探し求めることであり、「道元禅師からのメッセージ」はそのための羅針盤に他なりません。

新年のご挨拶 新たな年を迎えて

 謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、檀信徒の皆様のご多幸とご繁栄を心よりご祈念申し上げます。
 お正月の三が日には多くの仏教寺院で新年祈祷(修正会)が行われます。新年を祝い、世界の平和と仏法の興隆、そして檀信徒の皆様にとって本年が平穏な良き年でありますように祈念いたします。皆様におかれましてもご家族お揃いでお健やかに令和となって最初のお正月をお迎えになられたこととお喜び申し上げます。
 新しい年を迎え、今年も良き年になるようにと目標を立てられた方も多いのではないでしょうか。昔から、年の元(はじめ)、月の元、日の元を三元といって、おめでたい日であるとともに、その年、その月、その日をいかに生きていくか、指針を立てるために非常に大事にしてきました。一月は年の初めにこころを改めて正しく生きていく事を決意する月ということで、一月のことを「正月」ともいいます。禅語に「五福祥来」という言葉があります。五福とは「長寿」「富」「無病息災」「徳」「子孫繁栄」をあらわし、この語句はそれら五つの幸福がめでたく集まってくることを言います。令和となって最初の一年、五福で一杯になって頂きたいのと、一年間コツコツと努力され立てられた目標が叶われますことを切に願います。
 最後になりますが、皆様の一日一日がよりよい一日になりますようお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。 

 合掌
月照寺住職 間瀬和人

 この木版画は1804年(文化元)に刊行された『播州名所巡覧図絵』(※注1)に「人丸」という表題で見開き全面で掲載されている木版画です。
 絵の中央左側には「月照寺」が記され、このページの前後の観光案内文の中には、月照寺は柿本人麻呂社の別当寺(※注2)であることや、明石城築城により現在地への移転となったことなども記されています。
 この「人丸」の絵図には、左側の中央には1709年(宝永6)に九代城主松平直明により再興された鐘楼堂も描かれ、東経一三五度の位置にある現在の鐘楼とほぼ同じ場所のように見受けられます。
※注一『播州名所巡覧図絵』とは、大阪から赤穂までの地名や旧跡の由来を書いた、当時の旅行案内です。
※注二 別当寺とは、専ら神仏習合が行われていた時代に、神社を管理するために置かれた寺院のことです。
 この名所巡覧図絵に描かれている柿本人麻呂社の社殿などは、当時、月照寺が管理しており、1971年(明治4)の神仏分離令により、月照寺より分離し、現在の柿本神社となっています。
 写真は、市立天文科学館より撮影した現在の月照寺と柿本神社の姿です。
 名所巡覧図絵の左側に描かれている当時の月照寺と見比べると、1873年(明治6)に移築した城主の居所の正門が山門として増え、大震災からよみがえった本堂などと相まって、曹洞宗の寺院としての荘厳な雄姿を醸し出しているように感じられないでしょうか。これも偏に幾代にわたる檀信徒の皆様の月照寺護持の賜物と感謝申し上げる次第であります。

 昨年の護持会が取り組んだ主な内容は、一昨年に続き、初代明石城主小笠原忠政を始め幾代もの城主との縁の深かった月照寺として、築城四百年の記念に、後世に残し続けていけるものとして実施したものです。
 それは、城主の居所の正門であった山門を挟んでの環境を整備し、当時の豪壮な雰囲気を醸し出せるようにするための事業です。
 一昨年の事業は山門の東側の環境整備で、本堂の前庭を巡っている参道沿いの結界を六方石の杭に変えての全面改修でした。
 昨年は山門の北西側一帯の環境整備で、写真にありますように、階段前の石畳に続いて、バリアフリーに配慮しながら、子安千体地蔵尊前まで大きな飛び石を配しながら、柿本人麻呂の歌碑周辺から永代供養墓前まで一面に石畳を敷き、全体として山門前広場のようになったと考えています。
 これにより、駐車場から山門前まで車イスも行けるようになり、千体地蔵尊や合祀墓にもお参りできるようになりました。
 なお、築城四百年記念としての一連の環境整備につきましては、昨年送付の『護持会-実績報告・事業計画等』にて申しましたように、檀信徒皆様のご理解により積み立てられてきた基金を活用して施工できたものであり、皆様の日頃よりのご尽力の賜物と感謝いたしています。

 この歌碑には「ともし火の明石大門にいらむ日や漕ぎ別れなむ家のあたり見ず」と刻まれています。万葉集巻三に収められている柿本人麻呂の八首の覊旅歌(きりょか 旅に関する和歌)の一首で、官人人麻呂がわが家から遠く離れた西の地への赴任途中、明石海峡に差し掛かった時に詠んだものといわれています。
 この度の環境整備の一環で、和歌に詠われている状況を表わすため、歌碑の土台を舟形に変え、山門(明石大門)を背にして西方に向かって航行しているように据え直しました。
●歌碑について
昭和48年(1978)4月の柿本人麻呂千250年祭を記念に建立したもの 池内艸舟筆

 初日の参拝は、別名「猫寺」の御誕生寺。猫の出迎えがあるかと思ったが、さにあらず。そのまま本堂に。太鼓と鉦の響く中、般若心経の読経。何がそうしたのか、皆さん大音声だった。当寺の老僧こそ、瑩山禅師の故郷に御誕生寺を建立された、元総持寺貫首の板橋禅師である。「一つの道を懸命に進むことこそ、賢い人生」だと、説かれた。軍人から僧侶の道を歩まれた人生経験から滲み出たお言葉、と受け止めた。
 翌日は、大本山永平寺の参拝である。法堂での先祖代々の供養である。60数名による修証義の声明は圧巻。堂内を全員が巡りながらの読経で荘厳そのもの。焼香が終わったところで、僧侶から「法堂から見る景色は、春は若葉、夏は深緑、秋は紅葉、冬は銀世界へと移ろい、毎年繰り返している。人も先祖から引き継ぎ、子や孫へと繋いでいく。堂内を巡りながら読経したのは、そういう意味である」と諭された。なるほど、そうであったかと納得して永平寺を後にした。
 好天に恵まれ、心が満たされた旅であった。月照寺はじめ関係者の皆様に奉謝奉謝。

岩崎拓治

 幾度となく木製の賽銭箱が壊され皆様のお気持ちを無にするような事件があったことから石柱に変えました。石柱は亀の甲羅を模した六角柱で標柱を兼ねています。併せて文豪永井荷風の日記『断腸亭日乗』に書かれている「亀齢井(かめのゐ)と称する霊泉あり、掬するに清冷氷の如し」。”亀の水“の感想も刻んでいます。刻字は書道家月華氏(月照寺護持会前会長網氏の御嬢さん)の書によるものです。

「亀齢井(かめのゐ)と称する霊泉あり、掬するに清冷氷の如し」の出典部分の日記
断腸亭日乗(永井荷風)
 昭和20年6月初八、晴、午前7時警報あり姑くにして解除となる、朝飯を食して後菅原君と共に町を歩み、理髪店に入りしが五分刈りならでは出来ずと言ふ、省線停車場附近稍繁華なる町に至らぱよき店もあるべしと思ひて赴きしがいづこも客多く休むべき椅子もなし、乃ち去つて城内の公園を歩む、老松の枯るゝもの昨夕歩みたりし遊園地の如し、されど他の樹木は繁茂し欝然として深山の趣をなす、池塘(=池の堤)の風致殊に愛すべし、石級を昇るに徃時の城楼石墻猶存在す、眺望最佳きところに一茶亭あり、名所写真入の土産物を売る、床几に休みて茶を命ずるに一老翁渋茶と共に甘いものもありますとて一碗を勧む、味ふに麦こがしに似たり、粉末にしたる干柿の皮を煮たるものなりと云、天主台の跡に立ち眼下に市街及江湾を眺む、明石の市街は近年西の方に延長し工塲の烟突林立せり、これが為既に12回空襲を蒙りたりと云、余の宿泊する西林寺は旧市街の東端に在るなり、漫歩明石神社を拝し林間の石径を上りまた下りて人丸神社に至る、石磴の麓に亀齢井(かめのゐ)と称する霊泉あり、掬するに清冷氷の如し神社に鄰して月照寺といふ寺あり、山門甚古雅なり、庭に名高き八房の梅あり、海湾の眺望城址の公園に劣らず、石級を下り電車通に至る間路傍の人家の庭に芥子矢車草庚申薔薇の花爛漫たるを見る、麦もまた熟したり、正午過寺に帰る、食後寺の女主人また苺を馳走せらる、午後菅原君と楼上に蔵する先代住職の書冊を見る、多くは皆現代出版の文芸書類なり、頗奇異の思をなす。

<令和2年>

1月1~3日新年祈祷(修正会) 本堂/毎朝
元旦から三日までの毎朝、平穏無事な一年でありますようにと祈願いたします。
3月14日(土)春彼岸会法要 本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
3月17日(火)永代供養塔合祀墓合同供養 永代供養塔前
◆15時~法要
永代供養塔に合祀されている仏様をご供養いたします。
3月31日(火)大般若祈祷法要  本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
大般若波羅密多経六百巻を転読し、檀信徒各家の諸願成就を祈願する法要です。
6月1日(月)~
2日(火)
日高隆国寺参拝と山陰路散策の旅
恒例、月照寺バスツアー
皆様お揃いでの参拝旅行です。
ご一緒にお参り致しましょう。
8月6日(木)初盆大施食会 本堂/8時開経
初盆を迎えられる新亡の仏様のご供養はもとより、
ご先祖、無縁の仏様にもご供養する法要です。
8月23日(日)
8月24日(月)
地蔵盆 千躰地蔵尊前
◆18時~
子ども達の純真な心を見守っていて下さるお地蔵様を子ども達でご供養する法要です。
9月12日(土)秋彼岸会法要 本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話 
◆14時30分~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
10月25日(日)お十夜法要 本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
曹洞宗のお祖師さまである達麿大師のご遺徳を偲び、
ご先祖様に感謝の気持ちを込めてお念仏をお称えする法要です。
12月31日(木)子午線燈花会・除夜の鐘  鐘楼/22時受付
◆23時~撞鐘開始(受付22時)
鐘つき志納 金1人500円以上 (全額社会福祉に寄付)
「行く年」を省み、「来る年」の決意を新たに。

●日  程 ● 令和2年6月1日(月)~2日(火)  1泊2日
●参 加 費● お1人様 30,000円
皆様と共に楽しい旅にしたいと計画しておりますぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。
※檀家さん以外の方もご参加いただけます。

お申し込みは、お寺までお願いいたします。
締め切りは5月10日まで 📞078-911-4947
※お申し込み人数が30名未満の場合は、やむを得ませんが中止と致します。ご了承願います。

 お正月に檀信徒並びにお墓があるお宅にお送りします郵便物が毎年何軒か「転居先不明等」で戻ってきます。お寺としても転居先が解らず困っております。転居・名前の変更等ある場合は必ず月照寺の方へ連絡下さい。特にお墓が有るお宅は必ず連絡して頂きますよう重ねてお願い致します。
また、年々、月照寺でも後継者がいなく「墓じまい」をするお宅が増えてまいりました。参る方がいなくなり大切なご先祖様が眠っておられるお墓が無縁仏になることもお寺としては心配です。
檀信徒並びにお墓があるお宅で後継者がいなくなりゆくゆく無縁仏になってしまうので「墓じまい」をお考えのお宅は遠慮なくお寺へご相談ください。

月照寺
📞078-911-4947

開催日◆令和2年4月12日(日)
ヨガ 10時~11時
座禅体験 11時30~12時

会 場◆月照寺本堂 
講 師◆濱田さやか
参加費◆1,500円(お茶菓子付)

※初体験の方もお気軽にご参加下さい。檀家さん以外の方も参加OK!
お申し込みは●月照寺まで 078-911-4947
※定員になり次第締め切らせていただきます。