寺報「月照」第15号

平成25年 元日

慕古心(もこしん)
道元禅師さまからのメッセージ

ひとの価値
ひとの価値は地位・財産・職業に関係ありません
知識・能力だけでひとを評価すると過ちを招きます
知識を生かす心と行いこそ大切ですひとの価値は
心と行いから生ずるのです

「慕古心」について

時を超えて、人を超えて、語り、受け継がれ、伝えられる「真実(本当のこと)」は永遠に輝いて、いつも新しいのです。道元禅師は、現代を生きる私たちに、「真実(本当のこと)」をたくさん教え示してくださっています。そのひとつひとつを学び、実践することを「慕古心」というのです。
「慕古心」とは、「永遠の真実」を探し求めることであり、「道元禅師からのメッセージ」はそのための羅針盤に他なりません。

 謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、檀信徒の皆様のご繁栄とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
 月日が巡るのは本当に早いもので、一年があっという間に過ぎ、平成二十五年の新たな年を迎えました。
 毎年お正月になると、「一年の計は元旦にあり」という言葉を見聞きしますが、この言葉は、「月齢広義(げつれいこうぎ)」という中国の明の官僚が著した中国の伝統行事やしきたりを解説した四計の一節です。四計とは、「一日の計は朝にあり」「一年の計は元旦にあり」「一生の計は勤めにあり」「一家の計は身を修めるにあり」とあります。これを訳しますと、「一日は朝の気持ちのありかたで決まり、一年は年のはじめの決意で決まる。人生はまじめに勤めることで決まり、一家の将来は身の振り方(生き方)で決まる」といった意味のようです。一年は一日の積み重ね、一生は一年の積み重ねです。年のはじめに目標や計画を立て、その「初心」を忘れずコツコツと努力し願いが成就するように一日一日を大切に過ごし努力することが大事だということです。
 当山におきましても、元旦から三日までの早期に「新年祈祷」をお勤めし、”世界平和“、”仏法興隆“、”全ての人々が幸せになるように“と、お祈りいたしております。 なお、昨年は当山が所蔵する畳三畳分の大きさの『釈迦涅槃図』の傷みがすすんでおり、先住職からの念願でありました修復を無事終え十一月のはじめに戻ってまいりました。専門家によると、江戸時代に一度修復をしており、作はもっと以前になるとのことです。この歴史ある釈迦涅槃図、月照寺の宝として末永く護ってまいります。
 最後になりますが、皆様にとって本年が良い一年でありますことを重ねて祈念申し上げ、新年の挨拶とさせて頂きます。

合 掌
月照寺住職 間瀬和人

月照寺 明石 柿本社 奉納和歌集
-縁の月照寺いにしえの和歌を読みませんか -

この度、月照寺が所蔵しております江戸時代の皇族や武士の奉納和歌や書簡をまとめた「月照寺明石柿本社奉納和歌集」が十年の歳月を費やし出版されました。

 発刊にあたっては、全国的に署名な「奉納和歌研究会」の鶴崎裕雄氏(帝塚山学院大学名誉教授)・神道宗紀氏(帝塚山学院大学教授)・小倉嘉夫氏(大阪青山短期大学准教授)の三氏が10年余の歳月を要し編著された学術的な労作であります。
 当「月照寺」は、和歌三神のひとり柿本人麻呂をお祀りし、享保8年(1723年)に人麻呂誕生千年を機に時の朝廷より神位神号を与えられて以降、江戸初期から幕末まで和歌の上達を願う天皇、公家、武士また市井の人々が詠んだ多くの和歌が奉納されています。
 当寺書庫に保管されていたこれら史料を解読、年代ごとに整理し、現代語訳も付けたものが、この度発刊された和歌集です。


560ページ 限定180冊 書店価格10,500円(税込)

貴家の蔵書にお加えください
月照寺檀家様限定に縁の価格(特別価格)で販売します
6,000円(税込・送料込・振込手数料込)
お申し込みはお寺までお願いします。TEL078-911-4947

盆のお参りの方々に特別販売を実施しました

 昨年の8月11日から13日の3日間、本堂裏駐車場・水汲み場横にてテントを設営し、お盆のお参りの方々に、特別販売を実施しました。
 販売には護持会役員有志が当たりました。特に、12日・13日には「元道 東堂様」が販売席にお着きいただけ、お蔭様で多数の販売がかないました。お疲れ様でございました。皆さまには、紙面をお借りし、ご協力頂けましたこと、深くお礼申し上げます。
 売上代金は、月照寺護持会会計に戻入し、大事に活用させていただきます。

月照寺護持会役員会

松江月照寺境港正福寺参拝記

  平成二十四年四月八日~九日、月照寺主催山陰の名刹を訪ねる旅に御縁をいただき天文科学館前に住職の奥様、榎本和夫県会議員らの見送りに感謝し日工観光バスで三十人参加して出発しました。
  住職和人さんの挨拶、運転手、ガイド、添乗員らの紹介があり知人も多く楽しい旅行になりそうです。さっそく、おやつにビール、お茶をいただき車内は和やかにバスは予定時間通りに中国道米子山陰道松江市内へと向かいました。その間の蒜山高原あたりから見る連山のすばらしさ、空の青さとほうき富士や遠く雪山を眺めながら、ハーレーのバイク集団にも会い、松江市内のしじみ館に到着しました。そこで昼食をいただき、土産えらびも楽しく過ごしました。
  そして今日のメインである浄土宗月照寺は、松江城の西側に位置し、広さ一万平方メートルの境内は国の史跡に指定され松江藩主の廟所が厳かにならんでいます。
  本堂書院宝物殿唐門、小泉八雲の随筆に登場する巨大亀形の寿蔵碑、茶室大円庵茶釜塚、茶の湯井戸など、由緒正しき遺品遺跡が数多く歴史と信仰のお寺として四季折々の花が咲き、「山陰のあじさい寺として観光客やお参りの方が訪れています。」と、住職の奥様が案内して下さいました。後になりましたが、全員袈裟をつけてお参りしました。 ”合掌“ありがとうございました。
  続いての出雲大社には大きなしめ縄があり、重さ五トン間近で見上げると「なるほど」と思いました。縁結びの福の神で名高くみなさんのご健康と孫たちの良縁をいのりました。
  かしわ手を打って…。
  いよいよ今夜のお宿、玉造温泉ホテル玉泉またここでも桜が見ごろを迎えています。今夜はお世話になります。
  さっそく温泉大浴場岩風呂でからだを癒し、宴会はみなさん月照寺ファミリーとなり、楽しく盛り上がり、飲めや歌えで時間の経つのも忘れるぐらいで、場所を変えて郷土の芸能ショーも見られ、二次会にも参加し思い出の夜となりました。ありがとうございます。
  二日目、朝風呂と朝食をしっかりいただきました。足立美術館は庭園がとっても有名で生の額絵や掛け軸、枯山水庭・苔庭・池庭など季節の移り変わりを楽しむことができるのは見どころです。展示は横山大観や竹内栖鳳の日本画の二大巨匠の作品などで多くの入場者がありました。続いては、大根島由志園ぼたんと庭園が見どころで、出雲国の箱庭とも言われ四季を通じて花咲く池泉回遊式で楽しまれています。
  昼食は境港大漁市場のなかうらで買物もし、次は曹洞宗正福寺を参拝する掲示板に(迷いの岸から悟りの岸へ合わす手と手が渡し船)とあり、本堂に通され住職さんの法話を聞く門を入る前に全員袈裟を掛けて般若心経を唱える六道絵、地引網絵馬、永代供養塔、松尾芭蕉の句碑、水木しげる記念碑など、今日が良い日でありますように…合掌
  続いて、鬼太郎ロード散策で商店街歩道に水木しげるさん作の妖怪がいっぱい私たちを迎えてくれて、店頭のスタンプを押したりで、楽しい思い出となり後々に残ることでしょう。
  今回の参拝旅行の計画をされ、そしてお世話して下さいました方々に心よりお礼申し上げます。次回もご縁をいただき、ぜひ参加したいです。ありがとうございました。

合  掌
山本治衛

日本語の中の仏教 其の5

世 間

  「渡る世間に鬼はない」ということわざがあります。「わたしたちが生きている社会は、悪い人ばかりでなく、いい人もたくさんいるんだよ」という意味になるでしょう。あの有名なドラマのタイトルは、もちろんこのことわざの、もじりです。
  このことわざにふくまれる「世間」は、「社会」とおおよそ同じ意味として使われています。人間の生きる社会ですね。
  実は、この「世間」は、そもそも仏教のことばなのです。
  仏教での「世間」は、まず生きものすべてを意味します。これを「有情(=いのちあるもの)世間」といいます。そして、その生きものすべてを住まわせる山や川、海や風などの自然環境も世間に含まれます。これを「器世間」といいます。わたしたちが、生きる場所としての「器」です。
  世間は、とても広いものだったのです。それが、だんだん人間の住む世界に限られて使われるようになりました。
  仏教では「世間」を迷いの世界ととらえます。迷ったり、なやんだり、怒ったり、悲しんだりするのは私たち人間です。広いものだった「世間」が人間の住む世界をさすようになったのは、このような仏教の考え方があったからなのでしょう。
  仏教は、この「世間(=迷いの世界)」をこえていくことを示します。まず、自分が今、どんな心をもって生きているのだろう、ということを確かめることが大切なのだと思います。今自分が生きている「世間」を、しっかりとみつめてみましょう。

我 慢

 わたしたちが、ふだん使っている「我慢」ということばは、もとは仏教語なのです。
 今は、「こらえること」「たえること」ですが、仏教での意味は、「おごりたかぶること。自分をえらいと思い、他の人をばかにすること」になります。「自分」をおさえずに、強く出しっぱなしにするばかりか、他の人を悪く思うのです。逆の意味になりますね。 どうして逆の意味になったのでしょうか。
  いろいろな説がありますが、そのうちのふたつを見てみましょう。
  自分がえらいことを示すためには、場合によっては自分をおさえることが必要になります。たとえば、とてもつかれていて、ほんとうは休みたいけど、そんなところを見せては、えらく見られなくなってしまう、といったことから、「こらえる・たえる」になった説。
  仏教では「我慢」をつよくいましめます。してはならないことなのです。「我慢はいけないんだ、我慢はいけないんだ…」といいきかせ、自分をおさえているうちに、いつしか「こらえる・たえる」の意味に変わっていったという説。
  ことばは生きものですね。長い時間をかけて、意味そのものを、一八〇度変えるのですから。
  さて、仏教の「我慢」は、とうぜんしてはいけないですが、今の「我慢」も、やりすぎると、からだにこたえます。”やせ我慢“にならないように、「我慢」と、うまくつきあってくださいね。

「てらスクール 染谷典秀」より

<平成25年>

1月1~3日新年祈祷(修正会) 本堂/毎朝
元旦から三日までの毎朝、平穏無事な一年でありますようにと祈願いたします。
3月9日(土)春彼岸会法要 本堂/12時受付
◆13時~法話
◆14時~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
3月17日(日)永代供養塔合祀墓合同供養 永代供養塔前
◆15時~法要
永代供養塔に合祀されている仏様をご供養いたします。
3月31日(大般若祈祷法要  本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
大般若波羅密多経六百巻を転読し、檀信徒各家の諸願成就を祈願する法要です。
6月11日(火)
6月12日(水)
大本山永平寺参拝
二年に一度の本山参拝です。
皆様お揃いでお参り致しましょう。
8月6日(初盆大施食会 本堂/8時開経
初盆を迎えられる新亡の仏様のご供養はもとより、
ご先祖、無縁の仏様にもご供養する法要です。
8月23日(金)
8月24日(土)
地蔵盆 千躰地蔵尊前
◆18時~
子ども達の純真な心を見守っていて下さるお地蔵様を子ども達でご供養する法要です。
9月14日(土)秋彼岸会法要 本堂/12時受付
◆13時~法話 
◆14時~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
10月25日(金)お十夜法要 本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
曹洞宗のお祖師さまである達麿大師のご遺徳を偲び、
ご先祖様に感謝の気持ちを込めてお念仏をお称えする法要です。
12月31日(土)
子午線燈花会・除夜の鐘 
 鐘楼/22時受付
◆23時~撞鐘開始(受付22時)
鐘つき志納 金1人500円以上 (全額社会福祉に寄付)
「行く年」を省み、「来る年」の決意を新たに。

― お知らせ ―

大本山永平寺 参拝の旅

※檀家さん以外の方もご参加いただけます。
●日  程 ● 平成25年6月11日(火)~12日(水) 1泊2日
●参加費 ● お1人様 27,000円
皆様と共に楽しい旅にしたいと計画しております。
ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

旅のみどころ

国宝高岡山瑞龍寺
国宝瑞龍寺は加賀藩二代藩主前田利長公の菩提を弔うため、三代藩主利常公によって建立された曹洞宗の寺院です。造営は正保年間から、利長公の五十回忌の寛文三年(一六六三年)までのおよそ二十年の歳月を要しました。
当時は三万六千坪の寺域があり、周囲に濠をめぐらし、まさに城郭の姿を想わせるものがあったそうです。
また正門前の道、八丁道をまっすぐに行くと、利長公墓所に突き当たります。
墓所は三代藩主利常公が利長公の三十三回忌に建てたもので、三重基壇の前面に十二段の石段を設けた重厚なものです。

井波観光・瑞泉寺
井波は、富山県南西部散居村で名高い砺波平野の南端に位置し、八乙女山の山麓に抱かれた歴史と自然あるのどかな町です。一三九〇年(明徳元年)、本願寺五代門主綽如上人が、この地に瑞泉寺を建立されたことに始まり、以来、井波は瑞泉寺の門前町として栄えてきました。また、瑞泉寺再建を発した「井波彫刻」は、欄間・獅子頭・天神様などの伝統工芸品を生み出し、彫刻産業全国最大規模となりました。平成十六年には町村合併し、南砺市となりました。

※正座など困難な方には本山を含め各施設で小椅子の準備もありますのでご安心下さい。
お申し込みは、お寺までお願いいたします。締め切りは5月15日まで(電話078-911-4947)
※お申し込み人数が30名未満の場合は、やむを得ませんが中止と致します。ご了承願いま