寺報「月照」第12号

平成22年 元日

慕古心(もこしん)
道元禅師さまからのメッセージ

「仏心のめざめ」
仏心とは自分のことはさておいても
世のため人のために
つくそうという心に他なりません
自分を中心とするから苦しむのです
仏心にめざめれば
苦労も生き甲斐に変わるのです

「慕古心」について
時を超えて、人を超えて、語り、受け継がれ、伝えられる「真実(本当のこと)」は永遠に輝いて、いつも新しいのです。道元禅師は、現代を生きる私たちに、「真実(本当のこと)」をたくさん教え示してくださっています。そのひとつひとつを学び、実践することを「慕古心」というのです。「慕古心」とは、「永遠の真実」を探し求めることであり、「道元禅師からのメッセージ」はそのための羅針盤に他なりません。

人丸観音と水琴窟(山門内)
山門内庭に洗心水の池があり、水琴窟が妙なる音色を奏でている。その池に北村西望氏作の人丸観世音菩 の立像がたたずんでいる。この尊像は身の丈2m10cmあって月照寺の鎮守神 柿本人麿にちなんで「人丸観音」と名付けられた。この尊像を寄進したのは檀家の(故)梅沢きよのさんであります。

 謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、皆様のご繁栄とご多幸、平穏無事を心よりご祈念 申し上げます。
 大本山永平寺を開かれた道元禅師さまは、「正法眼蔵」の中で菩提 捶 四摂法という四つの教えを示されました。
 その教えとは、布施(わけへだてなく与える)愛語(心やさしい言葉を用いる)利行(善い行いで利益を与える)同事(他者を理解し協調する)で、道元禅師さまはその実践行を強く願われました。
 私たち曹洞宗は、この四つの教えのうち、特に「愛語」の実践をかかげました。愛語とは、改めて申しますと、慈しみの心より自然に発せられ、相手を思いやるやさしい言葉です。また、絆をつよく結ぶ言葉でもあります。
 現代社会は混迷し、理不尽に命が失われ、不安で不透明な世の中です。しかし、決してあきらめてはなりません。み仏と自己の絆、人間どうしの絆、自然と自己の絆をつよめて生かされて生きる喜びをもてる平和な社会の実現を願いましょう。
 曹洞宗が目指します「人権・平和・環境」の実現はこの愛語の実践により、柔らかにして他を思いやる自己を育て、ひいては人権を尊重し、平和を願い、環境に思いがいたる心を育むのです。
 私たちは、日々の生活の中で、いつでも相手を思いやる慈しみのこころを忘れず、出会うものすべてと穏やかに接しながら、み仏の絆を深め、慈しみの言葉「愛語」を語りかけてほしいのです。
 皆様にとって、本年がすばらしい一年であることをこころよりお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせて頂きます。         

合 掌
月照寺住職 間瀬和人

初盆施食会

 八月六日 例年の如く朝八時より初盆大施食会が営まれました。
 当日は、大勢の皆様がお参りされ、施食棚に向かいご焼香し、手を合わせ初盆の精霊をはじめ有縁無縁三界万霊等を供養されました。施食会とは、すべての亡き精霊のために営む法要で、その功徳がそれぞれの先祖供養になるとされています。別名、施餓鬼会(せがきえ)とか、水中や陸上のすべての生き物に食べ物を供養する「水陸会(すいりくえ)」とか、遮ることなく平等に施す「無遮会(むしゃえ)」とも呼ばれています。
 施食会の由来ですが、釈尊十大弟子の一人阿難尊者(あなんそんじゃ)が或る時、静かな森の中で坐禅していると、突然暗闇の中に、やせて亡霊のような焔口(えんこう)餓鬼の姿が夢か現のように現れ、阿難さまに「お前は三日後に、命がなくなり、我等と同じ餓鬼道に生まれるであろう」と告げた。
 阿難さまはびっくりして苦難を免れる方法はないかと尋ねると、「一切無量の餓鬼たちに飲食を施し、仏法の悟りを供養してくれれば、あなたも餓鬼たちも救われよう。そしてあなたは長生きをすることができるであろう。」と答え、その場を立ち去って行ったのです。
 困り果てた阿難さまは、お釈迦さまに事の次第を訴え、教えを乞われました。お釈迦さまは阿難さまに「施食棚に新鮮な山海の飲食をお供えし、僧たちに施食会を営んでもらいなさい。僧たちのお経の法力によって、少量の供物は無量の供物となり、すべての餓鬼に施されるのであろう。そして多くの餓鬼は救われ、お前も長寿を得られ、さらに尊いお経の功徳によって、悟りを開くこともできるだろう」と「施食の法」とお祈りの呪文「陀羅尼(だらに)」をお示しになりました。
 お釈迦さまのお教えどおりに供養した阿難さまは、ご自分も救われると共に、多くの餓鬼をもお救いになりました。このことがあってから、阿難さまは常に餓鬼が救われますようにと「お施食」をなさいました。そして、阿難さまが長生きをされたことは、多くの人の知るところです。
 施食会は、盆に限らず、有縁無縁三界万霊等に回向し、新亡、先祖代々の諸精霊の追善供養として各寺院で随時行われております。

永代供養塔合祀墓と墓地のご案内
ー少子高齢化社会のお墓事情ー

 少子高齢化・核家族化の中、自分が亡くなったら、遺骨はどうなってしまうのか?
先祖代々のお墓の後継者がいないので、いずれは無縁墓になってしまうのが心配。また、永年連れ添った主人のお墓は建てたいが、跡継ぎがいないので自分が亡くなった後、建てたお墓はどうなるのか? など、数年前からお墓に関する相談が増えてきました。月照寺では、このような方のために、永代供養塔合祀墓を昨年完成しました。
 既に母方の実家が絶家になり、墓を整理し、ご遺骨を合祀された方や、つれあいを先にご納骨され、ご自身は生前申込みされた方など多くの方が、お参りをされています。
 また、つれあいや家族一処の墓を建てたい方はどうぞ安心してお墓を建ててください。何十年でもお参りをして頂き、墓参が出来なくなった時点で、住職により、ご家族一処に、ご遺骨を永代供養塔合祀墓に納め、月照寺が永代に亘って、供養する永代供養安心墓システムをご利用ください。

永代供養合祀墓のお問い合せ
月照寺・寺務所(078)911・4947

月照寺墓地・永代供養安心墓のお問い合せ
指定店・富永石材(078)911・6233

大本山 永平寺に参詣して

 五月十六日、今にも降り出しそうな空模様のなか、定刻の七時三十分に大本山永平寺参詣に出発。今回の本山参詣は、昨年十一月の晋山式に於いて、和人様が名刹「月照寺」の住職に新命を受けての檀信徒共々お礼参詣の殊のほかめでたい旅でした。又本山法堂にて参加者の先祖供養が行われるとのことで、その法要時間に遅れないようにと、混雑する名神高速道を避けて一路、舞鶴若狭道、北陸自動車道を快走、雨に洗われた新緑の美しさと、ガイドさんの名調子に耳を傾けての至福の一刻きのち、永平寺門前の「イノウエ」に到着。昼食後、本山に参詣する。
本山には何度か御一緒させて戴きましたが、今回はこれまでと異なり違った意味での身が引締まるような厳粛さを感じました。
法堂にて参加者の先祖供養が、管長様の法要が行われ、後「不老閣」にて管長様の心温かい接待を受け、管長様を囲んでの記念撮影。後修行僧の案内で説明を受けました。本山と月照寺との強いつながりに感銘を受け私達檀信徒にとって大変有り難く感謝申し上げながら本山を後にして今日の宿泊所、芦原温泉「グランディ芳泉」に到着。先づ一日の疲れをとりに大温泉に入浴後、楽しみの宴会場へ食事にカラオケにと大いに盛り上がり、楽しい夕べを過ごし親睦を深めることが出来ました。翌十七日、激しい吹き降りのなか帰路につきました。途中、小浜の多田寺に参詣、寺の由来の説明と重要文化財の仏像を拝観。次いで国宝の本堂、三重の塔で有名な明通寺に参拝。次にお箸工房を見学して降り続く雨のなか、一路明石を目指して帰路につき定刻に無事に元気に雨の降るなか帰着致しました。最後に今回の参詣について感じた事は月照寺が故老師、 前元道師、そして和人住職と受け継がれてきた名刹寺を更に繁栄がもたらされる様、私も檀家の一人として支えていきたいと心に誓いました。(村井 忠男)

永平寺参拝

 新緑香る五月、月照寺二十七世、新住職和人和尚の許、檀信徒三十二名出発しました。当日は曇空でしたが、車窓から見える山々、樹々若葉の織りなす濃淡は秋の紅葉にも劣らない美しい眺めで飽きなく心癒される旅の始まりです。例年と異なり永平寺直行しました。
 先に月照寺ご配慮により「不老閣」にて、第七十九世福山諦法新褝主様にご対面、お言葉をいただき共に記念撮影しました事はこの上ない喜びでした。その後、法堂にて八十数余名の僧侶の方々で月照寺一行の供養を執り行ってくださいました。降り出した雨音と鐘の余韻、静けさの中に流れる続経の声に心洗われるひとときでした。管内一巡の後、宿泊地へと、芦原温泉での夜は無言法要を終えた感謝と親睦の宴が催され第一日が過ぎました。翌日は雨となり、「多田寺」「明通寺」共に重要文化財指定、国宝建物と爾来千二百余年を誇る立派な名刹を拝観し帰路につきました。両日、安全運転、豊富な知識と巧妙な朗読で水上勉の文学、故郷福井の旅を満喫し、法要を終え有意義な二日間を有り難うございました。(中谷 和子)

日本語の中の仏教 其の3
「ありがとう」

 だれかに助けてもらったときや、やさしいことばをかけてもらったときに、その相手にかけることば「ありがとう」。
 このことばも、お経がもとになっています。いろいろなお経の中に、もとになる文章の表現をみつけることができますが、ここでは『法句経』というお経をしょうかいしたいと思います。
ひとがいのちをえるのはかたし
やがて死すべきものの
今いのちあるは ありがたし
 「ありがとう」は、この「ありがたし=有り難し」”そのようであることはむずかしい“から生まれたのです。 
 現在の世界の人口は、六十一億人だといわれています。わたしたちは、六十一億分の一というかくりつで、かけがえのない、とりかえることのできない「わたし」として、いのちを得たのです。ましてや、他の生物を加えれば、もっとすごいかくりつになります。
 また、生命が誕生したのは、四十億年前だといわれています。生命の誕生から、現在にいたるまでの長いあいだ、数えきれないほどの生命がそんざいしたわけです。そんな中、わたしたちは、この時代に、かけがえのない、とりかえることのできない「わたし」として、いのちを得たのです。
 そして、こうして今、生きている。すごいことだと思いませんか? 何だか感謝の思いがわいてきます。 
 このようなことから、「ありがたし」が感謝をあらわす「ありがとう」になっていったのです。

投稿募集

毎年年始に発行しております本紙「月照」におきまして、檀信徒の皆様方の交流コーナーを設け、俳句・短歌・写真等を募集し、掲載させていただきたく考えております。
●応募はお寺までお願いします。

<平成22年>

1月1~3日新年祈祷(修正会) 本堂/毎朝
元旦から三日までの毎朝、平穏無事な一年でありますようにと祈願いたします。
3月13日(土)春彼岸会法要 本堂/12時受付
◆13時~法話
◆14時~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
3月17日(水)永代供養塔合祀墓合同回向 永代供養塔前
◆15時~法要
永代供養塔に合祀されている仏様をご供養いたします。
3月31日(水)大般若祈祷法要  本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
大般若波羅密多経六百巻を転読し、檀信徒各家の諸願成就を祈願する法要です。
8月6日(金)初盆大施食会 本堂/8時開経
初盆を迎えられる新亡の仏様のご供養はもとより、
ご先祖、無縁の仏様にもご供養する法要です。
8月23日(月)
8月24日(火)
地蔵盆 千躰地蔵尊前
◆18時~
子ども達の純真な心を見守っていて下さるお地蔵様を
子ども達でご供養する法要です。
9月11日(土)秋彼岸会法要 本堂/12時受付
◆13時~法話 
◆14時~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
10月15日(月)お十夜法要 本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
曹洞宗のお祖師さまである達麿大師のご遺徳を偲び、
ご先祖様に感謝の気持ちを込めてお念仏をお称えする法要です。
12月31日(水)
子午線燈花会・除夜の鐘 
 鐘楼/22時受付
◆23時~撞鐘開始(受付22時)
鐘つき志納 金1人500円以上 (全額社会福祉に寄付)
「行く年」を省み、「来る年」の決意を新たに。

お願い●市町村合併にともない住所に変更がございましたらお知らせ下さい。