寺報「月照」第7号

平成17年 元日

慕古心
道元禅師さまからのメッセージ

「最初の一歩」

何事においても、最初の一歩を間違えるととんでもない方向へ行ってしまいます
仏道の修行は自分が救われるためではなく世のため人のためにつくすことですこの誓願から最初の一歩を踏み出しましょう

新年のご挨拶

檀信徒の皆様には、ご健勝のこととお喜び申し上げますとともに、平素は当山護持のためにご支援賜り誠にありがとうございます。
 今年百五歳の禅師様から「二十一世紀という言葉に限りない夢を抱いた時がありました。しかし、地球規模での環境破壊、後を絶たない紛争とテロ。国内では、自ら命を立つ年間三万人を越える人、刹那的な享楽に時を過ごす多くの若者、後を絶たない幼児達への痛ましい事件。この様な時代に曹洞宗の教えに生きる私達は、どのような信仰生活を送るべきでしょうか。」というお言葉がありました。
 『修証義』の教えに「同事というは不違なり自にも不違なり他にも不違なり」があります。
 ”同事とは協力して事を成すこと“”不違とは違わないこと“です。つまり自己を囲む全ての人や物との間に垣根を作らないことです。
 私達は、人であったり、自然であったり、必ずつながりを持っています。だからこそ、
”人を敬う心“や”自然を大切にする心“を忘れたとき、無闇に人と争ったり、己の都合だけで自然を傷つけることを起こすのです。
 今こそ、私達は、皆と共に仏の教えに叶った「同事行」を実践してまいりましょう。
 殺すことなかれ 差別を許すことなかれ
 美しき地球と未来を子ども達に
 この願楽を実践することこそが、私達の信仰生活にほかなりません。
 今日、只今から、その実現のための一歩を進めようではありませんか。

平成十七年元旦              
月照寺住職 間瀬元道

あけましておめでとうございます

 平成十七年の年頭にあたり、総代会を代表して謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年は数多くの台風や大地震など、立て続けに災害に見舞われ、全国各地に大きな被害をもたらした年でありました。
 皆様のところはいかがでしたでしょうか。当山では台風十八号で庫裏の戸が吹き飛ばされるなどの被害がありました。
 さて、皆様により良い環境の中で法要や墓参などにお越しいただけるよう、当山は駐車場や墓地内の整備をしており、私共総代一同もこれを支援しています。
 お陰様で昨年は、駐車場の拡大と墓地内の環境整備を進めることができました。
 皆様には何かとご迷惑をおかけしていますが、ご理解のうえご協力いただきますようお願い申し上げます。
 また、皆様が各種行事に気軽にご参加くださるよう、護持会役員の皆様共々、お手伝いなども行っており、今後とも懸命に取り組んでまいりたいと考えています。
 檀信徒の皆様におかれましては、どうか変わらぬご理解、ご協力を賜りますよう、心よりお願いいたしまして、年頭のご挨拶といたします。

平成十七年元旦             
筆頭総代 山森 豊

境内・墓地整備を進めております。

かねてより墓地整備の一環として進めております墓碑管理者の確認調査は、今年で七年を迎えました。
「無縁墳墓等改葬公告」を官報等で掲載してから、四月ですでに三年がきます。しかし、今だ確認の取れないお墓も多数あり、調査も難航しております。
そのため、中参道・参道拡張工事が遅れておりますが、墓地整備は順次進めていきますので、皆様にはご協力の程よろしくお願い致します。永代供養墓(合祀墓)も計画中です。

本堂裏駐車場も整備致しました。多くの方にご利用頂いております。駐車場への進入経路がわかりにくい方は、寺務所に案内パンフレットがありますので、ご利用下さい。

幼児からご高齢の方にも安全にお墓参りをして頂けるよう、手すりの設置や、階段、通路の整備を進めております。

万霊横区の古くからの擁壁が傾いており、今年度中に擁壁工事を致します。
ご協力の程よろしくお願い致します。
墓地整備の一環として、中腹区の崩れた土手を石工事にて修復致しました。また先で延長工事も予定しております。
主な参道に道しるべを順次、設置の予定です。

『月照寺(柿本社)奉納和歌集』刊行

鶴崎裕雄

月照寺は、住吉明神・玉津島明神とともに和歌三神の一人、柿本人麻呂の寺院として古くから歌人たちの崇敬を集めてきた。なかでも江戸時代、特別な和歌の伝授である古今伝授を終えた歴代の天皇は、公家たちと祝いの歌会を行い、勅使を遣わして和歌三神にその歌会の歌を奉納した。月照寺をはじめ大阪の住吉大社・和歌山の玉津島神社に、その歌会で天皇と公家たちが詠んだ歌の短冊が残っている。こうして奉納された歌は文学や歴史の研究の上で大切な資料である。同時に月照寺が格式の高い寺院であることの証明である。このほかにも月照寺には、明石城主松平直常と家臣たちの百首歌や歌の家の公家である冷泉為村の文書、さらに上皇の仙洞御所からの書状など貴重な歌や文書が一〇〇点近く残されている。
今回、われわれ三人、神道宗紀・小倉嘉夫・鶴崎裕雄が、奉納和歌を中心に、文書類・書状などを翻刻して、『月照寺(柿本社)奉納和歌集』を刊行することとなった。現在、翻刻は八分通り仕上がっていて、これから編集作業に入る。平行してそれぞれの和歌や文書の解説を書かなければならない。出版は平成十八年の後半を予定している。
 幸い、月照寺には昭和四十七年刊行の『月照寺寺伝』がある。これは先代住職間瀬碩禅師の編集になるもので、柿本人麻呂の千二百五十年祭の記念事業として出版された。今回の新しい『月照寺(柿本社)奉納和歌集』も三十二年前出版の『月照寺寺伝』を大いに参考にさせていただき、少しでも先覚の業績を引き継ぎたいと念じている。なにしろ由緒ある月照寺の貴重な和歌や文書を手に取ることができるだけでもありがたいこと、まして翻刻・刊行という仕事をすることとなり身の引き締まる思いで一杯である。

月照寺平成十六年の記録

【彼岸会法要】
平成16年3月13日(土)
日本独自の風習であると云われています。
間瀬元道老師の法話につづいて先祖の供養を行いました。檀信徒の皆さんもお墓を飾りお参りしました。

【除夜の鐘・子午線燈火会】
平成15年12月31日(水)
大晦日の夜半、人が持つという百八ツの煩悩を除くため、百八人の善男善女が集い、撞木で百八点撞き鳴らしました。

【撞木取替え】
平成15年12月22日(月)
旧の撞木、いたみがひどく更新しました。梵鐘にあわせて撞木をひとまわり大きなものにし、立派なものになりました。

【初盆大施食会】
平成16年8月6日(金)
五十九組の新盆の霊を鎮めるための供養を行いました。本堂の「床の間」庫院の「床の間」には羅漢さんの軸を飾り賑やかな床にしました。

【境内清掃】
平成16年7月18日(日)
年一回の寺内清掃を総代さん、護持会役員さん、檀家の方二十三人が集い実施しました。駐車場も広くなり、四トン車一杯の雑草が出ました。

【大般若祈祷法要】
平成16年3月31日(水)
「大般若波羅密多経」六百巻を転読して国家安寧、家内安全、災害防止などを祈願する法要で、経典は読むのでなく各巻を右から左へ、左から右へ転々と呪文を唱えながら読誦したことにするのです、圧巻です。

【永平寺参拝】
平成16年11月20日(土)~21日(日)
秋の本山参拝を楽しみました。往路、西大寺の大茶盛で笑い、一休寺の紅葉を堪能、本山泊まりで身の引き締まる思いをしました。帰路は建仁寺の立派さに胸打たれました。

【お十夜法要】
平成16年10月25日(月)
本堂の「床の間」庫院の「床の間」すべてに達磨大師の軸を飾りました。
法話は「実相院」の小泉即澄御老師の
”人生の達人“
そして後でご先祖様に感謝報恩のお念仏を捧げました。

【大阪俳文学研究会来寺】
平成16年8月20日(金)
大阪俳文学研究会のメンバー二十四名(大学の先生方)月照寺に伝わる寺宝の閲覧に来られました。皆さん個々専門に於いて著名な方ばかり大変喜ばれ感謝されました。

大本山永平寺 参拝記

菊花の香りも終わりに近づき、初霜の降りる便りを耳にする季節、月照寺恒例行事の本山参りに参加させて頂きました。
今回は、一昨年、元道住職が焼香師拝命の栄誉を戴き、私達檀信徒にとり大変名誉な事でありました、感謝の気持ちでお参りさせて頂きました。
さわやかな秋晴れの中、大和路へ!
西大寺で大茶盛を体験し、大きな茶器に顔を入れ、参加者全員が笑いの中で和やかになりました。
次に一休寺(トンチでお馴染みの一休さんのお寺)にお参りし、国の重要文化財の名勝庭園を散策、紅葉の美しさに心が静まります。車窓からは、山また山の紅葉を楽しみながら越前に着きました。樹齢七百年と云う古木が立ち並ぶ門前に立ち、その尊厳さに幾度参拝させて頂いても、筆舌に尽くし難い思いがいたします。
山内では、坐禅・法話で九時消灯、早朝四時過ぎより”仏道は実行である“との法話を拝聴し、強く肝銘を受けました。続く五時から法堂(本堂)にての、朝のお勤めに参加しました。大勢の雲水様の読経の中、先祖回向で個々の名前が読み上げられ焼香もさせて頂き何か体全体が清められ、心身ともにあり難く胸一杯になりました。
世間は、悪い怖いニュースが多い昨今です。
私は、年に一度世俗を離れ、修行の一端に触れる事は人生にとってよい機会と思います。お寺参りは、老後のことと考えず、若い方も高齢者も共に健康に気を付け、時間を作ってお参りに参加されることを願い、私の感想とさせて頂きます。

小笠原つね子

お釈迦さまのおさとり(成道会)

十二月八日はお釈迦さまがおさとりを開かれた日です。曹洞宗では毎年、この日を「成道会(じょうどうえ)」と称して記念行事を行います。お釈迦さまを供養する法要や、昼夜を通して坐禅をする「摂心(せっしん)」など、お釈迦さまの「成道」をとても大切にしております。「成」は達成・完成するということ。「道」はおさとりを意味します。「摂心」とは、心を摂(おさ)めて気を散らさないこと。
お釈迦さまは、二十九歳の時、なぜ人間は、老い、病を得、死んでいかねばならないのか、という深い悩みを抱え、その解決のためにひとり修行僧となって歩みはじめました。
当時すでに、さまざまな教えと修行方法があり、お釈迦さまもその実践をされました。しかし、その究極の境地に到達しても、苦悩の解消には到りませんでした。六年もの間、そのような苦行を続けたのですが、そこから答えを見つけることは出来ませんでした。
その後、苦行で傷つき痛んだ身体をいたわるように、川で身体を清めたお釈迦さまは村娘のスジャーターより施された乳粥を食べて体力を回復し、菩提樹の木の下で静かに坐禅(瞑想)すること七日間、十二月八日の早朝、さとられたといいます。身体を調え、呼吸を調え、心を調え、静かに坐りついにおさとりを得たのです。三十五歳の時でした。
何をさとったかについては、一般的には「縁起(えんぎ)」の道理であるといわれています。これは「縁(よ)って起こる」と読み、「わたしはわたしだけで成り立っているわけではない」ということを意味します。
自分が広い草原の真ん中にある大きな木の下で、静かに目を閉じて坐っている姿を想像してみてください。自分の足に柔らかい草を感じます。その下に自分を支え、草を支え、背中の大きな木を支える大地を感じます。その大地をわたしたちは地球と呼び、その地球も他の惑星、多くの星々との微妙なバランスの中で、その位置を保っています。
この様に観ていくと、普段自分のことを指す「わたし」という言葉が、実に小さく、限定されたものであることを感じるでしょう。その一方で、世界、宇宙全体とつながっている「わたし」は、計り知れないほど尊い、かけがえのないものであることを感じるでしょう。この「わたし」の世界を「縁起」、縁って起こる世界というのです。
その後、お釈迦さまはしばらくその安楽の境地を楽しんでおられました。そこにある思いがよぎります。「この境地を多くの人々に伝えたい」「いや、この境地はあまりにも微妙で伝えがたく、実に困難を伴うだろう」このふたつの思いが交錯する中で、新たな思いがあふれてきます。「わたしの安楽は生きとし生けるものの全ての安楽によって実現するのだ」お釈迦さまは、同じように苦悩している人々を導かずにはいられなかったのです。
成道の後、亡くなるまでの四十五年間、お釈迦さまは説法伝道の生涯を歩まれました。数多くの弟子が育ち、さまざまな教えが説かれ、二千五百年を経た現代にまで、お釈迦さまの教えは脈々と伝えられています。

曹洞宗宗務庁刊「成道会のしおり」より

<平成17年>

1月1~3日新年祈祷(修正会) 本堂/毎朝
元旦から三日までの毎朝、平穏無事な一年でありますようにと祈願いたします。
3月12日(土)春彼岸会法要 本堂/12時受付
◆13時~法話
◆14時~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
3月31日(木)大般若祈祷法要  本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
大般若波羅密多経六百巻を転読し、檀信徒各家の諸願成就を祈願する法要です。
5月21日(土)
  22日(日)
大本山永平寺参拝
年に一度の本山へ皆様お揃いでお参り致しましょう。
8月6日(土)初盆大施食会 本堂/8時開経
初盆を迎えられる新亡の仏様のご供養はもとより、
ご先祖、無縁の仏様にもご供養する法要です。
8月23日(火)
8月24日(水)
地蔵盆 千躰地蔵尊前
◆18時~
子ども達の純真な心を見守っていて下さるお地蔵様を
子ども達でご供養する法要です。
9月17日(土)秋彼岸会法要 本堂/12時受付
◆13時~法話 
◆14時~法要
この世を越えた彼岸に想いをめぐらし、亡き人を偲んでご供養いたします。
10月25日(火)お十夜法要 本堂/12時30分受付
◆13時30分~法話
◆14時30分~法要
曹洞宗のお祖師さまである達麿大師のご遺徳を偲び、
ご先祖様に感謝の気持ちを込めてお念仏をお称えする法要です。
12月31日(土)
子午線燈花会・除夜の鐘 
 鐘楼/22時受付
◆23時~撞鐘開始(受付22時)
鐘つき志納 金1人500円以上 (全額社会福祉に寄付)
「行く年」を省み、「来る年」の決意を新たに。

当寺は子午線上の人丸観音堂に高さ三メートル。廻り二・六メートル。区切られた升目が九八〇個。升目毎に観音様を収め、豆球が全部点燈される華麗な光明燈を安置しております。この一区画を皆さまのお申し込みにより提供し、区画毎にそれぞれご氏名を掲げ先祖供養。水子供養。家内安全。学業祈願等、あらゆる願い事を祈願します。ご祈願の主旨に沿って一年間を通じ毎朝のおつとめのおりにお回向させて頂きます。
尚、供養料は一ヶ年五千円です。ご希望の方は同封の払込通知票でお申し込み下さい。